インタビュー

「家具工房ひょうたん蔵」飯田さんご夫妻 2006年(平成18)移住

ーはじめに、「家具工房ひょうたん蔵」について教えてください。

愛川町 移住者インタビュー 家具工房ひょうたん蔵 飯田さん

了司さん 自然そのままの無垢材(丸太から切り出したままの自然な状態の木材)にこだわり、木の温かみを生かした家具やインテリア小物を製作しています。無垢材を使った製品は大分少なくなってきておりますので、無垢材の良さが伝わる「デザイン」や「温かみ」が感じられる製品を作ることを心がけています。

愛川町 移住者インタビュー 家具工房ひょうたん蔵 飯田さん

無垢材を削っていくと木目が変わってくる。それがまた面白い表情を伝える。

愛川町 移住者インタビュー 家具工房ひょうたん蔵 飯田さん

バラエティに富んだラインナップ。最近は「ちょっと可愛すぎるかな」と、少し高級路線にしていこうと思案中。

ー愛川町のことを知ったきっかけについて教えてください。

了司さん 家具職人として自分たちの工房を持ちたいと、2000年に寒川町に工房を構えました。2002年、縁あって愛川町の中津に工房を移転させました。

周子さん 初めて愛川町の名前を聞いた時は「何県?」という感覚でした(笑)

了司さん 私は「どこに行っても大丈夫」という感覚でしたが、妻は横浜出身で遠くに出ることにすごく抵抗感があったようです。

周子さん 知らない土地に行くことには、すごく不安がありました。

-そんな中、愛川町を移住先として選んだのは?

周子さん 中津の工房にはショールームが無かったので、いつかショールームを持ちたいと考えていました。そんな時、家具職人の仲間から「中津の工房の先に、すごく素敵な場所があるから行ってみたら?」と言われたんです。行ってみるとそこは、水道坂から見下ろす、一面に広がる箕輪耕地の田んぼ。「綺麗だな」と思い、その先の半原まで車を走らせました。とても自然豊かな場所だと感じ、この場所に、自分たちの工房を持ちたいと思いました。

愛川町 移住者インタビュー 家具工房ひょうたん蔵 飯田さん

水道坂から見下ろす箕輪耕地の絶景

了司さん 半原は撚糸業で栄えた場所。そこに建つ昔ながらの工場の「家内工業」的な雰囲気に風情を感じました。私も、そういった場所で仕事がしたいと感じていたので、ピンときました。できれば、昔ながらの工場や古民家に空きが出れば理想だなと思い、2年ぐらい物件を探しました。

愛川町 移住者インタビュー 家具工房ひょうたん蔵 飯田さん

周子さん ただ、そういう場所は中々見つからなくて…この場所は更地でしたが、自分たちの好きな家が建てられるとプラスに捉え、2006年5月にここへ移住しました。

-現在の自宅兼ショールームは、ご夫婦で建てられたそうですね。

了司さん 新しい工房にはショールームを併設していましたが、もっと広々としたスペースにして、自分たちの生活空間をリアルな家具展示場としてお客様に見せたいと考え、2013年8月から工房の隣地に建てていきました。

周子さん 自分たちでやれば、イメージ通りに建てられると思って。「セルフビルド」ではなく「ハーフビルド」。基礎や柱や梁などは大工さんに任せて、自分たちで断熱材や石膏ボードを貼るところから始めました。壁やフローリング貼りなども全部自分たちで。仕事をしながらでしたので、完成までに1年以上かかりました。新しい家に移ったのが、2015年の1月でした。

愛川町 移住者インタビュー 家具工房ひょうたん蔵 飯田さん

ご夫婦の生活空間がリアルな展示場となる自宅兼ショールーム。

ー実際に移住されて感じる、愛川町で暮らす魅力は?

周子さん 私たちは仕事がメインで移住しましたが、予想以上に愛川町の豊かな自然を満喫しています。愛犬と一緒に近所を散歩すると気持ちが良いので、1時間ぐらい歩き、あいかわ公園まで行ったり、中津川の河原で遊ばせたりしています。暑い日は、私たちも川の中に足を入れて涼んだりもします。

愛川町 移住者インタビュー 家具工房ひょうたん蔵 飯田さん

自宅近くにある中津川の河原。鮎釣りをする方も多い。

了司さん 庭でリクガメも飼っているのですが、たくさん食べて、どんどん成長していきます。庭を耕して、リクガメと私たちが食べるための小松菜やモロヘイヤ、夏野菜を作ったり、シイタケの原木栽培もしていてます。移住した当時は仕事も忙しくて中々そこまでやる余裕もなかったんですが、予想外の「田舎暮らし」を満喫しています。

ケヅメリクガメの「ぐら」

周子さん 野菜作りは素人なので、試行錯誤しながらやっています。幸い、近所にはアドバイスをしてくれる「おじさま方」がいらっしゃるので(笑)お節介がとてもありがたいです。

自宅の庭に耕された家庭菜園

了司さん あとはまあ、月並みですけど「空気が綺麗」とか「町営水道の水が美味しい」とか。色々な点から「都心には住めないなぁ」と感じます。この環境に住んでいることが、幸せなんだなと思っています。

ー生活の面ではいかがでしょうか。

周子さん 自宅近くにもスーパーなどがあるので、車があれば買い物ができないということはないと思います。今はインターネットでも注文することができますので、不便に感じたことはありません。

-少し脱線しますが…インスタでも大人気のキャラクター「ひょうたんビト」について教えてください。

了司さん 「ひょうたん蔵」という名前は、初めて工房を構えた時、「ひょうたんから駒」という具合に、「こんなボロ古屋でも、意外と良いモノを作るね」と思ってもらえるように名付けました。でも、それを何度も説明するのが面倒になって(笑)「ひょうたんの置物を作っておけば、ひょうたんが好きなんだって思ってもらえる」と考えて作ったのが「ひょうたんビト」です。家具と一緒に展示していたら、名前の由来はもう聞かれなくなりました。

愛川町 移住者インタビュー 家具工房ひょうたん蔵 飯田さん

不思議な可愛さがあふれる「ひょうたんビト」ギャラリーでも展示・販売がされています。

周子さん 2010年に「ひょうたんビト」をモチーフにした10周年記念のカレンダーを製作して、お世話になった皆さんにお配りしたら、とても喜んでもらえました。それから毎年カレンダーの製作を続けていたら「ひょうたんビト」が溜まってきて。その頃、Instagramの人気が出てきたので、それじゃあ「ひょうたんビト」で、インスタをやってみようかなと(笑)

-インスタでは「ひょうたんビト」に動きをつけたり、顔面を変えてみたり、すごいですね!

了司さん 全然すごくないです(笑)グラフィックは素人なので。でも、素人が必死にやって、プロみたいに上手くないところが、逆にいいのかなと思っています。

愛川町 移住者インタビュー 家具工房ひょうたん蔵 飯田さん

ギャラリーには「ひょうたんビト」の色々なバージョンの写真が、インスタ風に展示されています。

-材料となるひょうたんも栽培しているんですか?

周子さん 夏場は、庭にひょうたんがゴロゴロしていますよ(笑)また、農家の親戚もひょうたんを栽培しており、そこへ取りに行ったりもしています。

 

 

ー周囲の事業者とのつながりはありますか。

了司さん Instagramでつながっている人は多いのですが、「近いからいつでも行ける」と思って、逆になかなか行く機会がありません(笑)移住者の「年茶屋」年岡さんご夫婦とは知り合いで、犬を散歩していたら仲良くなって(笑)愛川ブランドの「春の花・ラナンキュラス」を生産する「愛川園芸」の五月女さんは、何度か工房に来てくれました。

周子さん ポケットに愛川のInstagramで色々なお店を紹介しているけど、まだまだ少ないなあと思います。小さな規模でも個人事業を始めたい人はたくさんいると思うので、そういう人たちが移住しやすい環境を作ればお店も増えるし、モノづくりをする人も増えていく。人も集まってくるんじゃないかと思います。

愛川町 移住者インタビュー 家具工房ひょうたん蔵 飯田さん

 

―今後の抱負を教えてください。

了司さん 今の暮らしに満足しているので、特にこれ以上ということはありません。今の仕事をキープして、体が弱ってきて家具の製作ができなくなったら、その時できる仕事…「ひょうたんビト」の製作メインで仕事ができればなと(笑)

周子さん コロナ禍の今は中々難しいのですが、将来はワークショップをやりたいと考えています。

 

ー最後に、移住を考えている方に愛川町をオススメできる理由を!

周子さん 私たちのように仕事がメインで移住した場合でも、周囲の自然がとても気持ちが良く感じられます。駅はちょっと遠いかもしれませんが(笑)圏央道を使えば東京からもすごく近いので、車移動には不便を感じません。都心に頻繁に出かけなければ、それほど苦労はありませんよ。

了司さん 私たちのやりたいことや好きなことをするために、適した場所はどこかなと探していたら、たまたまここが見つかりました。「何かやりたいな」と考えている人にとっては、場所の制限さえクリアできれば、自分のやりたいことや自分の思い描くイメージを、広々とした環境でカタチにできるのではないかと思います。

愛川町 移住者インタビュー 家具工房ひょうたん蔵 飯田さん

住所

愛川町半原4100-8

MAP

TEL 046-215-1130
URL

https://www.hyo-tan.com/